感情を手放すために役立つ3つの質問
嫌なことがあったあと、頭では「もう気にしないようにしよう」と思っているのに、何度もその場面を思い出してしまう。
相手に言われた一言が引っかかって、時間が経ってもモヤモヤする。
「こんなことで怒るのは大人げない」
「もっと前向きに考えなくては」
「私が気にしすぎなのかもしれない」
そうやって自分に言い聞かせても、なかなか感情を手放せないことがあります。
特に40代、50代になると、仕事、家族、夫婦関係、親との関係など、長く続いてきた人間関係や役割の中で、さまざまな感情が重なっていることもあります。
感情を手放すというのは、嫌な感情を無理になくしたり、何でも前向きに考えたりすることではありません。
今、自分の中で何が起きているのかを整理し、感情に巻き込まれた状態から少し距離を取り、自分が本当に大切にしたいことへ戻っていくこと。
今回は、そのために役立つ3つの質問をご紹介します。
こんな人へ
・嫌なことを何度も思い返してしまう
・相手の言葉や態度がいつまでも引っかかる
・怒りや悲しみを我慢してしまうことが多い
・感情的になる自分を責めてしまう
・気持ちを切り替えたいのに、なかなか切り替えられない
・人間関係のモヤモヤを整理したい
・自分が本当はどうしたいのか分からなくなることがある
そんな方に届けたい内容です。
今日持ち帰れること
この記事では、感情を手放すために役立つ3つの質問をご紹介します。
まず、自分が感じていることを確認する。
次に、何が自分の中で引っかかっているのかを整理する。
そして最後に、自分が本当はどうしたかったのかを見つけていきます。
大切なのは、すぐに気持ちを切り替えようとしないことです。
感情には、その人が大切にしていることや、守りたかったものが隠れていることがあります。
そこを飛ばさずに見ていくことで、ただ我慢するのとは違う形で、少しずつ気持ちを整理できるようになります。
感情を手放すとは、感情をなくすことではない
「感情を手放す」と聞くと、
怒らなくなること。
悲しまなくなること。
何を言われても気にしなくなること。
そんな状態を想像する方もいるかもしれません。
けれど、感情が生まれること自体をなくす必要はありません。
大切な人に分かってもらえなければ悲しくなることもあります。
理不尽な扱いを受ければ、腹が立つこともあります。
将来が見えなければ、不安になることもあるでしょう。
問題になるのは、感情があることではなく、その感情に長く巻き込まれて、自分が本当はどうしたいのか分からなくなってしまうことです。
たとえば、
「相手が悪い」
「どうして分かってくれないの」
「また私ばかり」
「こんなことを気にする私がおかしい」
と、頭の中で同じやり取りを何度も繰り返している状態です。
この状態から少し離れて、
「私は何を感じていたのだろう」
「何がそんなに引っかかったのだろう」
と自分の内側を見ることが、感情を整理する入り口になります。
これは、「気にしやすい性格だから仕方がない」という話ではありません。
出来事と感情、自分の受け取り方、本当に望んでいたことを分けていくことで、整理して扱うことのできるテーマです。
感情を手放すために役立つ3つの質問
1.「今、私は何を感じている?」
最初の質問は、とてもシンプルです。
「今、私は何を感じている?」
何か嫌なことがあったとき、私たちは意外と自分の感情そのものを見ていません。
「普通そんな言い方する?」
「私ばかり損をしている」
「どうしてあの人はいつもこうなの?」
と、出来事や相手について考え続けていることがあります。
そこで一度、相手ではなく自分へ意識を戻します。
怒っている。
悲しい。
寂しい。
悔しい。
不安。
怖い。
がっかりした。
分かってもらえなくてつらい。
一つに決められなくても構いません。
「怒っていると思っていたけれど、その奥には悲しさもある」
ということもあります。
反対に、何を感じているのか全く分からないこともあるでしょう。
そんなときも、無理に答えを出す必要はありません。
「何だかモヤモヤしている」
「胸のあたりが落ち着かない」
それくらいでも十分です。
まずは、自分の中で何かが起きていることを、自分が認めることから始めます。
2.「何がいちばん引っかかっている?」
次の質問は、
「今回のことで、私は何がいちばん引っかかっている?」
です。
同じ出来事でも、何に反応するかは人によって違います。
たとえば、パートナーが家事をしてくれなかったことに腹が立ったとします。
表面だけを見ると、
「家事をしてくれなかったから怒っている」
となります。
でも、もう少し見ていくと、
「私がやるのが当然だと思われている気がした」
「お願いしたことを大切に扱ってもらえなかったのが悲しかった」
「また私が全部やらなければならないと思って疲れた」
ということが見えてくるかもしれません。
仕事で意見を否定されたときも同じです。
意見が通らなかったことより、
「ちゃんと話を聞いてもらえなかったこと」
「自分の経験を軽く扱われたと感じたこと」
の方が、本当は引っかかっているかもしれません。
ここを整理すると、感情の輪郭が少しずつ見えてきます。
エトワールのセッションでも、感情の話をするときは、すぐに「どうすれば前向きになれるか」を考えるのではなく、まず何が起きたのか、何を感じたのか、そこでどんな受け取り方をしているのかを分けて整理することがあります。
一人で考えていると、出来事と感情と解釈が混ざり、
「やっぱり私が我慢すればいいのかな」
「私が気にしすぎなのかな」
と、いつもの結論へ戻ってしまうことがあるからです。
誰が正しいかを決めるためではなく、自分の中で起きていることを落ち着いて見られる状態をつくるための整理です。
3.「本当はどうしたかった?」
感情が少し整理されてきたら、最後に自分へ聞いてみます。
「私は、本当はどうしたかった?」
この質問は、感情の奥にある自分の願いを見つけるためのものです。
「怒りたかった」ではなく、
本当は話を聞いてほしかった。
大切に扱ってほしかった。
一緒に考えてほしかった。
無理なことは無理だと言いたかった。
少し休みたかった。
自分で選びたかった。
分かり合いたかった。
そうした、もっとシンプルな気持ちが出てくることがあります。
感情が大きいときには、この質問をしても答えが出てこないかもしれません。
その場合は、急がなくても構いません。
まだ怒りや悲しみが強いのであれば、まずはそこまで。
時間を置いてから、
「では、本当はどうしたかったのだろう」
ともう一度考えてみてください。
感情を手放すことは、自分の気持ちをなかったことにすることではありません。
むしろ、感情の奥にあった自分の願いを拾い直すことでもあります。

「本当はどうしたかった?」の次に考えたいこと
自分の願いが分かったら、そこで終わりではありません。
大切なのは、
「では、これからどうする?」
です。
たとえば、
「本当は手伝ってほしかった」
と気づいたのであれば、
次からどんな言葉で頼むのか。
どこまで自分がして、どこから相手へ任せるのか。
「本当は断りたかった」
のであれば、
次に同じような依頼が来たとき、どんな返事をするのか。
「本当は少し休みたかった」
のであれば、
何を減らすのか。
どの時間を空けるのか。
ここまで考えることで、感情の整理が実際の生活へつながっていきます。
感情を整理しても、また同じことが起きる理由
一度気持ちを整理したのに、また同じことでイライラしてしまう。
そんなこともあります。
だからといって、感情整理ができていないとは限りません。
たとえば、
「私は、人から頼まれると断れないと苦しくなる」
と気づいても、次の日から急に何でも断れるようになるわけではありません。
長く続けてきた人間関係の中では、
「断ったら悪く思われるかもしれない」
「私がやった方が早い」
「波風を立てない方がいい」
というこれまでの行動へ戻ることがあります。
だからこそ、感情について知識として理解するだけでなく、生活、言葉、予定、人との距離感へ落とし込むことが大切です。
エトワールでは、無理に強くなったり、どんな相手にもはっきりものを言える人になることを目指しているわけではありません。
その方の性格、仕事上の立場、家族との関係、体力や今の生活に合わせながら、
「ここなら変えられそう」
「この言葉なら使えそう」
「このくらいの距離なら楽そう」
という現実的な整え方を一緒に探していきます。
感情を手放すことも、その人らしさを消すためではなく、自分を削らずに日常を過ごせる形へ整え直すことだと考えています。
今日の小さな行動:一つの出来事を3つの質問で整理する
最近、少し引っかかった出来事を一つだけ思い出してみてください。
大きな問題でなくても構いません。
ノートやスマートフォンのメモに、次の3つを書いてみます。
1.今、私は何を感じている?
2.何がいちばん引っかかっている?
3.本当はどうしたかった?
きれいな文章にする必要はありません。
「ムカついた」
「悲しかった」
「ちゃんと聞いてほしかった」
そんな言葉で十分です。
そして余裕があれば、
「次に同じことが起きたら、私はどうしたい?」
まで書いてみてください。
感情を整理する目的は、何も感じなくなることではありません。
自分の気持ちを置き去りにせず、そのうえで、これからの自分が選べることを少しずつ増やしていくことです。
感情を手放せてきたサイン
感情が手放せたかどうかは、「その出来事を完全に忘れたか」で判断しなくてもよいでしょう。
たとえば、
・思い出しても、以前ほど心が大きく揺れない
・相手を責め続けなくなった
・自分を責める気持ちも少なくなった
・何が嫌だったのかを言葉にできる
・本当はどうしたかったのかが分かる
・次に同じことが起きたときの対応を考えられる
・相手の反応とは別に、自分がどうしたいかを考えられる
そんな変化が出てきたら、少しずつ感情との距離が変わってきているのかもしれません。
すべてをきれいに解決する必要はありません。
「あのことは今でも好きではない。でも、もう一日中考えなくなった」
それも十分な変化です。
一人で感情を整理するのが難しいときは
感情の背景には、その出来事だけでなく、これまでの人間関係や役割、仕事、家族との関係、自分が大切にしてきた価値観などが重なっていることがあります。
そのため、
「何が嫌だったのか、自分でも分からない」
「分かっているのに、また同じことを繰り返してしまう」
ということもあります。
そんなときは、一人ですべて整理しようとしなくても構いません。
コーチングでは、
今、どんなことが起きているのか。
そこにどんな感情があるのか。
自分は何を大切にしたいのか。
そして、これからどんな言葉や行動を選びたいのか。
という順番で整理していくことができます。
感情を手放すために必要なのは、我慢でも、無理に前向きになることでもありません。
まずは今の自分の中にあるものを見つけて、少しずつ扱える形にしていくこと。
今日ご紹介した3つの質問が、その小さな入り口になればうれしく思います。
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