コーチングで相手を活かす質問の作り方|5W1Hと興味・関心の持ち方
「コーチングでは、どんな質問をしたらいいのでしょうか」
コーチングや1on1、人との対話について学び始めると、こんな疑問を持つことがあります。
相手の話を聞いていても、次の質問が思い浮かばない。
何か聞かなければと思うほど、頭の中が真っ白になる。
質問はしているけれど、会話がなかなか深まらない。
そんなとき、「自分には質問するセンスがないのかもしれない」と思う必要はありません。
質問は、ひらめきだけに頼るものではなく、いくつかの視点に分けて考えることで作りやすくなります。
その一つが、5W1Hです。
そしてもう一つ、質問の言葉以上に大切なのが、目の前の相手に興味・関心を持つことです。
今回は、コーチングで質問が思い浮かばないときに使える5W1Hの考え方と、相手の話を自然に広げていくためのポイントについてお伝えします。
こんな人へ
・コーチングの質問がなかなか思い浮かばない方
・会話の途中で「次に何を聞こう」と考えてしまう方
・仕事の1on1や部下との面談で、話をもう少し深めたい方
・家族や身近な人の話を、アドバイスせずに聞けるようになりたい方
・質問の型だけでは、どこかぎこちなく感じている方へ届けます。
今日持ち帰れること
まず、質問が思い浮かばないことを「話すのが苦手」「コミュニケーション能力が低い」と性格の問題にしなくてもよいと分かります。
次に、5W1Hを使って、一つの話題から質問を広げる方法が分かります。
そして最後に、質問を考えること以上に大切な「相手への興味・関心」を、実際の対話でどう使うかを整理していきます。
質問が思い浮かばないのは、センスだけの問題ではない
相手の話を聞きながら、
「何かいい質問をしなければ」
「気づきを与える質問をしなければ」
「もっと深いところまで聞かなければ」
と考えていると、かえって質問が出てこなくなることがあります。
それは、相手の話を聞くことと、自分が次に何を言うかを考えることを、同時にしようとしているからです。
特に、コーチングを学び始めたばかりの頃は、「良い質問をしよう」という意識が強くなりやすいものです。
けれど、質問には必ずしも特別な言葉が必要なわけではありません。
たとえば、
「いつ頃からそう思っていたのですか?」
「誰と一緒にいるときに、そう感じますか?」
「もし自由に選べるとしたら、どうしたいですか?」
こうしたシンプルな問いでも、相手が自分の考えを整理するきっかけになります。
質問が苦手なのではなく、質問をどこから作ればよいか分からないだけということも多いのです。
これは性格の問題ではなく、整理して練習できるテーマです。
5W1Hを使うと、質問は作りやすくなる
質問を作るときの基本として使いやすいのが、5W1Hです。
・Who 誰
・When いつ
・Where どこ
・What 何
・Why なぜ
・How どのように
たとえば、相手が、
「これから、もっと自分の好きな仕事をしていきたいんです」
と話したとします。
ここから5W1Hを使うと、さまざまな質問を考えられます。
Who|誰
「どんな人と一緒に仕事をしたいですか?」
「誰に喜んでもらえる仕事をしたいですか?」
When|いつ
「いつ頃から、そう思うようになりましたか?」
「いつまでに、どんな状態になっていたいですか?」
Where|どこ
「どんな場所で働いていると心地よいですか?」
「今の環境の中では、どこに変えられそうな部分がありますか?」
What|何
「あなたにとって『好きな仕事』とは、どんな仕事ですか?」
「今の仕事の中で、すでに好きな部分は何ですか?」
Why|なぜ
「それを大切にしたいのは、なぜでしょう?」
「今、そう思うようになったきっかけはありますか?」
How|どのように
「今より少し近づけるとしたら、何から始められそうですか?」
「どんな働き方なら続けやすそうですか?」
同じ一つの話題でも、視点を変えるだけで質問はいくつも生まれます。
すべてを聞く必要はありません。
相手の話の中で気になったところを一つ選び、5W1Hのどこから聞けそうかを考えるだけでも十分です。
時間軸を変えると、さらに質問が広がる
5W1Hに加えて使いやすいのが、時間軸です。
「過去・現在・未来」に分けてみます。
たとえば、相手が「仕事に自信が持てない」と話していたとします。
過去について聞くなら、
「以前は、どんなときに自信を持てていましたか?」
現在なら、
「今、特に自信を失いやすいのはどんな場面ですか?」
未来なら、
「今より少し自信を持てるようになったら、何が変わりそうですか?」
となります。
未来について質問するときも、いきなり大きな理想を聞く必要はありません。
「半年後どうなっていたいですか?」が答えにくそうなら、
「今より少し楽になっていたら、何が違いますか?」
くらいでもよいのです。
質問は、相手が考えやすい大きさにすることも大切です。
質問を作る前に、相手への興味・関心を持つ
5W1Hを覚えると、質問そのものは作りやすくなります。
ただし、型だけを使って次々と質問すると、対話が「質問に答える時間」のようになってしまうことがあります。
そこで大切になるのが、相手への興味・関心です。
たとえば相手が、
「最近、仕事を少し減らそうと思っていて」
と話したとします。
そこで、
「そうなんですね」
で終わるのか、
「仕事を減らそうと思ったのには、何かきっかけがあったのかな」
と感じるのかで、その後の対話は変わります。
興味・関心を持つとは、相手のすべてを詳しく知ろうとすることではありません。
「今、この人は何を伝えようとしているのだろう」
と、少し立ち止まってみることです。
「減らしたい」という言葉が気になるかもしれません。
「最近」という時間が気になるかもしれません。
あるいは、その言葉を話したときの表情が気になることもあるでしょう。
その「少し気になったところ」が、次の質問になります。
自分が知りたいことではなく、相手が考えるための質問をする
質問をするときには、もう一つ気をつけたいことがあります。
それは、自分が知りたいことを聞いているのか、相手が考えるための質問をしているのか、という違いです。
たとえば、
「それで、ご主人は何と言ったの?」
「会社はどこなの?」
「結局、いくらくらい必要なの?」
こうした質問が悪いわけではありません。
状況を理解するために必要なこともあります。
ただ、質問する側の好奇心だけで話を広げていると、相手自身の整理から離れてしまうことがあります。
そんなときは、
「今、その中で一番整理したいことは何でしょう?」
「その出来事について、自分ではどう感じていますか?」
「ここからどうしたいと思っていますか?」
と、相手自身へ焦点を戻すことができます。
コーチングで大切なのは、質問する人が答えを見つけることではありません。
質問を通して、相手が自分の考えや気持ちを見つけやすくすることです。
「なぜ?」は使い方によって答えにくくなることもある
5W1Hの中には「Why=なぜ」もあります。
とても役立つ問いですが、使い方によっては、相手が責められているように感じることもあります。
たとえば、
「なぜ断らなかったんですか?」
と聞かれると、
「断れなかった理由を説明しなければ」
という気持ちになる人もいるでしょう。
同じことを確認するなら、
「断れなかったとき、どんなことが気になっていましたか?」
「その場では、どんな気持ちがありましたか?」
「断ることについて、何が一番難しかったのでしょう?」
と聞くこともできます。
言葉を少し変えるだけで、相手は自分を守るための説明ではなく、自分の内側を整理しやすくなります。
決まった言い方が正解なのではありません。
相手の様子を見ながら、答えやすい形へ調整することが大切です。
質問を増やすより、「今何を整理しているのか」を見る
質問をたくさん覚えても、実際の対話では迷うことがあります。
「この質問でいいのかな」
「もっと深く聞いた方がいいのかな」
と考え始めるからです。
そんなときは、質問そのものよりも、
「今、この人は何を整理しようとしているのだろう」
と考えてみてください。
出来事を整理しているのか。
気持ちを言葉にしようとしているのか。
何を選びたいのか迷っているのか。
誰かとの関係を整理したいのか。
次の行動を決めたいのか。
整理したいテーマが見えてくると、必要な質問も変わります。
エトワールのセッションでも、いきなり答えや行動を決めるのではなく、まず「今、何が起きていて、何を整理したいのか」を一緒に確認するところから始めています。
仕事のことに見えて、実は体力の問題が関わっていることもあります。
人間関係の問題に見えて、働き方や生活全体の余裕が影響していることもあります。
一つの答えへ急ぐのではなく、今どこを整理するとよいのかを確認してから、その人に合った問いを重ねていきます。
良い質問をすることより、対話を続けること
コーチングを学んでいると、「良い質問をしなければ」と思うことがあります。
けれど、毎回、相手がはっとするような質問をする必要はありません。
「もう少し聞かせてもらえますか?」
「それは、あなたにとって大切なことなのですね」
「今の話の中で、一番気になっているのはどこですか?」
そんなシンプルな問いで十分な場面もあります。
大切なのは、質問を使って相手を動かそうとすることではなく、相手が自分の言葉で考えられる時間をつくることです。
ときには、質問のあとに沈黙が生まれることもあります。
すぐ次の質問を重ねず、相手が考える時間を待つことも対話の一部です。
知識として知るだけでなく、実際の言葉に落とし込む

「5W1Hを使えばいい」
「相手に興味を持てばいい」
と知識として理解しても、実際の会話になると、いつものパターンへ戻ることがあります。
相手が悩んでいると、すぐアドバイスをする。
沈黙すると、自分が話して埋める。
答えが見えると、そこへ誘導するような質問をしてしまう。
こうしたことは、頭で理解しただけでは変わりにくいものです。
だからこそ、
「この場面なら、どんな言葉で聞くか」
「どこまで聞いて、どこで待つか」
「自分が答えを出したくなったとき、どうするか」
というところまで、実際の対話へ落とし込んでいくことが大切です。
一人で振り返っていると、
「やっぱり私は聞くのが苦手なのかも」
「もっと質問を覚えなければ」
と元の考え方に戻ることもあります。
エトワールでは、無理に「質問上手な人」になることを目指しているわけではありません。
その方の仕事、立場、人との関係、話し方に合わせながら、自分らしく使える対話の方法を一緒に探していきます。
今日の小さな行動:一つの言葉から3つ質問を作ってみる
質問の練習をしたい方は、今日聞いた誰かの言葉を一つ選んでみてください。
たとえば、
「最近ちょっと疲れている」
という言葉。
そこから3つだけ、質問を考えてみます。
「いつ頃から疲れを感じていますか?」
「特に疲れるのは、どんなときですか?」
「今、少し減らせるものがあるとしたら何でしょう?」
実際にすべて質問する必要はありません。
まずは、一つの話題にもいくつもの入口があると知るための練習です。
慣れてきたら、
「私は、どの言葉が一番気になっただろう?」
ということも振り返ってみてください。
そこに、あなた自身の興味・関心が表れています。
質問が変わり始めているサイン
質問が上手になったかどうかは、難しい質問を言えるようになったかだけでは分かりません。
たとえば、
・次の質問を考えながら聞くことが減った
・相手の言葉をもう少し聞いてみたいと思えるようになった
・分からないことを、そのまま聞けるようになった
・すぐアドバイスをしなくなった
・沈黙を以前ほど怖く感じなくなった
・相手の答えを予想せずに聞けるようになった
・質問の数が少なくても、話が深まることが増えた
こうした変化も、対話が整ってきているサインです。
質問の技術を増やすことだけが目的ではありません。
相手の話を聞きながら、必要なところで問いを置き、また聞く。
その繰り返しが、相手自身が考えられる対話につながっていきます。
一人で整理するのが難しいときは
質問について悩んでいるとき、問題は質問の言葉だけにあるとは限りません。
相手にどう思われるかが気になっていたり、
間違ったことを聞いてはいけないと思っていたり、
相手を助けなければという気持ちが強くなっていたりすることもあります。
その場合、質問集を増やすだけでは、なかなか楽にならないことがあります。
まず、
「誰との対話で困っているのか」
「どんな場面で質問が出てこなくなるのか」
「そのとき自分は何を気にしているのか」
「相手とどのような関係をつくりたいのか」
という順番で整理すると、自分に必要な練習が見えやすくなります。
質問は、相手を変えるための技術ではありません。
目の前の人が、自分の中にある考えや気持ちを自分の言葉で見つけていくための一つの方法です。
まずは次の対話で、特別な質問をしようとせず、
「この人の話の、どこが少し気になるだろう」
と聞いてみてください。
そこから生まれた素朴な疑問が、その人にとって考えるきっかけになるかもしれません。
エトワールのサービス内容は「サービス」ページでご覧いただけます。
一人で整理することが難しいと感じる方には、現在の状況をお聞きする無料相談30分もご用意しています。

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