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変化の多い時期のメンタルマネジメント

2025.12.10

この記事の要約

・年度末や組織改編など「変化が多い時期」は、個人のメンタルの弱さではなく、組織としてのメンタルマネジメントが問われるタイミング。
・ストレスの大きさを左右するのは「事実」より「解釈」。変化の背景説明、見通し・コントロール感の共有、短い対話で感情に名前をつけることが鍵になる。
・マネジメント層自身のケアも含めて、「揺れ」を前提にしたしなやかな組織づくりを支える法人向けコーチングプログラムを、株式会社アルナレ(コーチング・エトワール)が提供している。

年度末や組織改編、部署異動、評価面談…。
会社では、一年のうちに「変化」が集中するタイミングがいくつかあります。

こうした時期は、

  • いつもより感情が揺れやすくなる人
  • パフォーマンスが一時的に落ちる人
  • いつも冷静な人が、急にイライラを見せる

    など、普段とのギャップが出やすいタイミングでもあります。

「メンタルが弱い人の問題」として個人にだけ任せてしまうと、組織としてはせっかくの人材を活かしきれないどころか、離職やモチベーション低下にもつながりかねません。

変化の多い時期こそ、「個人まかせにしないメンタルマネジメント」が大切になります。


1.「変化そのもの」よりも、揺さぶられるのは「解釈」

同じ異動や組織変更でも、

  • 「新しいチャンスが来た」と感じる人もいれば
  • 「見放された」「評価されていない」と受け取る人もいます。

ストレスになるのは、変化そのものよりも、その出来事に対する「解釈」の部分が大きいと言われます。

組織としてできるのは、

  • 変化の背景や意図を、できる範囲で丁寧に説明する
  • 「この決定で、皆さんの仕事はどう変わりそうですか?」と、感じていることを言葉にしてもらう場をつくる
    ことです。

「なぜこの変更なのか」「何を期待しているのか」が見えないままでは、人は自分に厳しい解釈をしがちです。

逆に言えば、マネジメント側の一言や説明の仕方で、社員のメンタル負荷は大きく変わります。


2.「見通し」と「コントロール感」を少しでも増やす

変化の多い時期に、人が不安を感じやすいのは「この先どうなるのか分からない」「自分にどれくらいコントロールできるのか分からない」という感覚が強くなるからです。

すべてを約束できなくても、次のような工夫で社員の「見通し」と「コントロール感」を少しずつ取り戻すことができます。

  • 3か月〜半年先までの大まかなロードマップを共有する
  • 「いつ・何が決まる予定なのか」をスケジュールとして示す
  • 「ここから先は皆さんの意見も踏まえて決めたい」と、関われる余地を明示する

「全部決まってから伝える」のではなく、「決まっていないことも含めて共有する」ことが、心理的な安心感につながります。


3.“感情に名前をつける”ための短い対話を増やす

変化の中では、社員一人ひとりの中に

  • 不安
  • 焦り
  • さみしさ
  • 悔しさ

など、さまざまな感情が同時に存在します。

ところが、忙しさのなかでそれらを抱えたまま仕事を続けていると、

「なんとなくやる気が出ない」
「ミスが増える」
「人にきつく当たってしまう」

というかたちで、じわじわと影響が出てきます。

すべてを深掘りする必要はありませんが、1on1やミーティングの最初に、こんな一言を添えるだけでも変わります。

  • 「今の変化の中で、一番ストレスを感じていることは何ですか?」
  • 「今日の心と体のコンディション、10点満点で言うと何点くらいですか?」
  • 「今、不安・期待・戸惑いのうち、どれが一番大きいですか?」

感情に名前をつけて、言葉にしてもらうこと。
それが、メンタルマネジメントの第一歩です。


4.マネジメント層こそ「自分のメンタル」に余白を

もう一つ見落とされがちなのが、変化の多い時期ほど、マネジメント層自身も大きなプレッシャーを受けているということです。

  • 上からの要請と、現場の本音の板挟み
  • 自分自身の評価やキャリアへの不安
  • 「部下のケアもしなければ」という責任感

これらを抱えながら、誰よりも冷静さを求められる立場にいます。

だからこそ、管理職や人事の方こそ、

  • 一人で抱え込まない相談先を持つ
  • 自分の感情を整理する時間を確保する
  • 「弱音を吐いてもいい場」を意識的につくる

ことが、結果的に組織全体のメンタルヘルスを守ることにつながります。


5.「揺れ」を前提にした組織づくりへ

変化の多い時期のメンタルマネジメントは、社員を「守る」ためだけのものではありません。

  • 感情を丁寧に扱う
  • 一人ひとりの解釈や不安に耳を傾ける
  • 見通しとコントロール感を一緒につくっていく

こうしたプロセスを通じて、組織は「変化に強く、しなやかなチーム」へと育っていきます。

株式会社アルナレ/コーチングエトワールでは、

  • 感情マネジメント
  • キャリア再設計
  • 境界線(バウンダリー)

    などの観点から、変化の多い時期のメンタルマネジメントを法人向けプログラムとしてご提供しています。
  • 組織変更に向けて、社員の不安を少しでも和らげたい
  • 管理職のメンタルケアも含めて、支援の仕組みを整えたい

といったご相談があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。