> Columnコーチングコラム > アクティブリスニングとは?感情を聴くための3つのコツ

アクティブリスニングとは?感情を聴くための3つのコツ

2024.06.19

アクティブリスニングとは、相手の言葉だけでなく、その奥にある感情や大切にしていることを理解しようとしながら聴く「積極的傾聴」です。この記事では、アクティブリスニングの意味を確認し、実践しやすい3つのコツと、職場や家庭での具体例を紹介します。

相手の話をきちんと聴いているつもりなのに、なぜか会話がすれ違ってしまう。
励ましたつもりなのに、相手の表情が曇ってしまったり、よかれと思って伝えた助言に「そういうことではない」と言われたり。

そんな経験はありませんか。

人の話を聴くとき、私たちは言葉の内容を理解しようとします。

けれど、対話の中で相手が本当に受け取ってほしいのは、出来事の説明だけとは限りません。

その出来事によって、

「悲しかった」
「悔しかった」
「不安だった」
「本当は分かってほしかった」

という気持ちを抱えていることもあります。

アクティブリスニングとは、相手の言葉をただ聞くだけでなく、その人が何を感じ、何を大切にしているのかを理解しようとしながら聴く姿勢です。

今回は、アクティブリスニングの基本と、相手の感情を聴くための3つのコツをお伝えします。

こんな人へ

家族や身近な人の話を聴いていると、つい助言をしたくなる方へ。

相手の話を真剣に聴くほど、自分まで苦しくなってしまう方へ。

仕事で相談を受けることが多く、どこまで踏み込めばよいのか迷う方へ。

相手を大切にしたいのに、会話の途中で自分の意見を伝えたくなる方へ。

人の気持ちを受け止めながら、自分も消耗しすぎない聴き方を身につけたい方に届けます。

今日持ち帰れること

まず、アクティブリスニングとは、相手に同意することでも、すべてを受け入れることでもないと分かります。

次に、言葉の奥にある感情を聴くための、具体的な視点が分かります。

そして最後に、相手の感情と自分の感情を混ぜずに、無理なく対話を続ける方法が分かります。

アクティブリスニングとは

アクティブリスニングは、日本語では「積極的傾聴」と表現されます。

ここでいう「積極的」とは、たくさん質問したり、会話を盛り上げたりすることではありません。

相手の話に意識を向け、

「この人は、何を伝えようとしているのだろう」
「この出来事を、どのように受け止めているのだろう」
「言葉の奥には、どんな気持ちがあるのだろう」

と、理解しようとしながら聴くことです。

たとえば相手が、

「最近、仕事が忙しくて大変なの」

と話したとき。

すぐに、

「少し休んだ方がいいよ」
「上司に相談したら?」
「私も忙しい時期があったよ」

と返したくなるかもしれません。

どれも悪い言葉ではありません。

けれど、相手がまず伝えたいのは、解決方法ではなく、

「毎日余裕がなくて苦しい」
「頑張っていることを分かってほしい」
「本当はもう限界に近い」

という気持ちかもしれません。

アクティブリスニングでは、答えを出すことより先に、相手が今どのような状態にいるのかを理解することを大切にします。

感情を聴くことが難しくなる理由

相手の感情を聴くことは、一見簡単そうに見えます。

しかし実際には、いくつもの反応が同時に起こります。

「何とかしてあげなければ」
「そんなに深刻に考えなくてもよいのでは」
「私ならこうするのに」
「責められているようで苦しい」

相手の話を聴きながら、自分の考えや感情も動くからです。

特に、責任感が強い人や、人の気持ちに敏感な人は、相手の問題を自分が解決しなければならないように感じることがあります。

反対に、相手の強い感情に圧倒され、早く話を終わらせたくなることもあるでしょう。

これは、思いやりが足りない性格だからではありません。

相手の言葉、相手の感情、自分の受け取り方、自分の感情が、対話の中で混ざっている状態です。

何が相手のもので、何が自分の反応なのかを分けていくことで、整理して扱うことができます。

アクティブリスニングの3つのコツ

1.答えを出す前に、相手の言葉を受け取る

人から悩みを聞くと、つい問題を解決しようとします。

けれど、相手が助言を求めているとは限りません。

まずは、

「それは大変だったね」
「そんなことがあったのね」
「ずっと一人で抱えていたの?」
「そのとき、どんな気持ちだった?」

と、相手の話を受け取る言葉を返してみます。

大切なのは、決まり文句を使うことではありません。

相手の話を聞いた自分の中に、

「この人は、どんな思いでここまで過ごしてきたのだろう」

という関心があることです。

すぐに答えを出さず、相手が自分の気持ちを言葉にする時間をつくる。

それだけでも、対話の深さは変わっていきます。

2.言葉だけでなく、声や表情の変化を聴く

人の気持ちは、話している内容だけに現れるわけではありません。

声が急に小さくなる。

話す速度が速くなる。

何度も同じ言葉を繰り返す。

少し笑いながら、つらい出来事を話す。

言葉に詰まったり、沈黙が長くなったりする。

そのような変化にも、感情が表れていることがあります。

たとえば、相手が笑いながら、

「まあ、私が我慢すればいいんだけどね」

と言ったとします。

笑っているから大丈夫だと判断するのではなく、

「本当は、我慢することに疲れているのかもしれない」
「笑わないと話せないくらい、つらいのかもしれない」

と、少し立ち止まってみます。

ただし、相手の気持ちを決めつける必要はありません。

「本当は悲しいんでしょう」と断定するのではなく、

「笑っているけれど、少しつらそうにも感じたよ」
「我慢することに、疲れているところもある?」

と、確認できる形で返します。

感情を聴くとは、相手の心を読み当てることではありません。

相手が自分の気持ちに気づき、安心して言葉にできる余地をつくることです。

3.自分の反応と相手の感情を分けて考える

アクティブリスニングでは、相手の状態だけでなく、聴いている自分の反応にも気づくことが大切です。

相手の話を聴いていて、

「すぐ助言したくなった」
「なぜか腹が立った」
「自分が責められているように感じた」
「早く安心させたくなった」
「話を聴き続けるのが苦しくなった」

という反応が起きることがあります。

その反応を否定する必要はありません。

ただ、そのまま相手に返す前に、

「これは相手の感情だろうか」
「それとも、私の経験や価値観から起きた反応だろうか」

と確認します。

たとえば、家族から仕事の悩みを聞いたときに、すぐ「辞めた方がいい」と言いたくなったなら、自分自身が過去に無理をした経験を思い出しているのかもしれません。

相手が怒っているときに、自分が強く不安になるなら、誰かの不機嫌をなだめてきた経験が影響していることもあります。

自分の反応に気づけると、それを相手の問題と混ぜずに聴きやすくなります。

エトワールのセッションでは、対話の中で起きていることを、

・実際に相手が言ったこと
・自分が受け取った意味
・相手に感じた感情
・自分の中に起きた反応
・本当はどう関わりたいのか

という順番で整理することがあります。

すぐに「どう返せば正解だったのか」を考えるのではなく、まず何が混ざっているのかを分けることで、その方に合う関わり方が見えやすくなります。

窓辺のテーブルに並ぶ2つのカップと、開いたノートのある静かな空間

感情を聴くことと、感情を背負うことは違う

人の気持ちを丁寧に聴こうとすると、相手の感情まで自分が引き受けてしまう方もいます。

相手が悲しんでいれば、自分も同じくらい悲しまなければならない。

怒っている様子を見ると、何とか自分が落ち着かせなければならないと感じる。

困っているときには、その問題まで自分が解決しなければならないと思ってしまう。

けれど、感情を聴くことと、感情を背負うことは違います。

「あなたは今、そう感じているのね」

と理解することはできます。

その一方で、

「その問題を、すべて私が解決する必要はない」
「相手の感情は、相手の中にあるもの」
「私は、私にできる範囲で関わる」

という境界線を持つこともできます。

アクティブリスニングは、自分を消耗させながら相手に尽くす方法ではありません。

自分と相手を混同せず、お互いを一人の人として尊重する聴き方です。

聴いたあと、どのように返せばよいのか

相手の感情が見えてきても、何と返せばよいのか迷うことがあります。

そのようなときは、立派なことを言おうとしなくても大丈夫です。

たとえば、

「そんなふうに感じていたのね」
「そこが一番つらかったのかな」
「今は、ただ聴いてほしい? それとも一緒に考えたい?」
「私にできることがあるとしたら、何だろう」
「すぐに答えは出ないけれど、話してくれてありがとう」

と返すことができます。

特に、

「ただ聴いてほしいのか」
「意見や助言がほしいのか」

を確認することは、すれ違いを減らす助けになります。

聴く側がよいと思う関わり方と、相手が今必要としている関わり方は、同じとは限らないからです。

知識として知るだけでなく、日常の対話へ落とし込む

「助言より先に感情を聴くことが大切」と理解していても、実際の会話になると、いつもの反応が出ることがあります。

家族に同じ悩みを何度も話されたとき。

仕事中に、急に相談を持ちかけられたとき。

相手の言い方が強く、責められたように感じたとき。

自分自身にも余裕がないとき。

そのような場面では、知識だけで落ち着いて対応するのは難しいものです。

一人で考えていると、

「私がもっと優しく聴かなければ」
「相手を傷つけないように我慢しよう」
「結局、私が受け止めるしかない」

と、元の関わり方に戻りやすいこともあります。

だからこそ、アクティブリスニングは、聴き方の知識だけでなく、

どの場面なら話を聴けるのか。

今は聴く余裕がないと、どのように伝えるのか。

助言が必要かどうかを、どう確認するのか。

相手の感情と、どのくらいの距離を取るのか。

という、生活や言葉、距離感へ落とし込むことが大切です。

無理に何でも受け止められる人になるのではなく、自分の状態や相手との関係に合う聴き方を見つけていきます。

今日の小さな実践:「今は聴くだけでいい?」と確認する

誰かから悩みを話されたとき、今日はすぐに助言をせず、次のように確認してみてください。

たとえば、「今は、ただ話を聴く方がいい?」「一緒に考えた方がいい?」「何か意見がほしい?」と、相手が望んでいる関わり方を確認してみます。

相手の希望を確認することで、自分が何を求められているのかも分かりやすくなります。

相手が「ただ聴いてほしい」と答えたなら、解決策を考えず、まずは話を受け取る。

「意見がほしい」と言われたなら、それから一緒に考える。

この小さな確認だけでも、聴く側が一人で正解を探さなくてよくなり、対話の負担が軽くなることがあります。

アクティブリスニングができ始めているサイン

アクティブリスニングは、相手を上手に励ませたかどうかだけで判断するものではありません。

次のような小さな変化も、聴き方が整い始めているサインです。

・相手が話し終わる前に、答えを考えなくなった
・すぐに助言せず、気持ちを確認できるようになった
・相手の沈黙を、急いで埋めなくなった
・自分の反応と、相手の感情を分けて考えられるようになった
・聴く余裕がないときに、無理をせず伝えられるようになった
・相手の問題を、自分がすべて解決しなくてもよいと思えるようになった
・話したあと、相手だけでなく自分の状態も確認できるようになった

完璧に聴けなくても大丈夫です。

会話の途中で助言してしまったとしても、あとから、

「さっきはすぐに意見を言ってしまったけれど、本当はどんな気持ちだった?」

と聴き直すこともできます。

聴き方は、一度で身につけるものではなく、日々の対話の中で少しずつ整えていくものです。

一人で整理するのが難しいときは

人との会話ですれ違いが起きる背景には、話し方や聴き方だけでなく、これまでの関係性や役割、自分の感情の動き、相手への期待など、さまざまなものが関わっています。

そのため、聴き方を変えようと思っても、

「相手が怒ったらどうしよう」
「冷たい人だと思われたくない」
「私が聴かなければ、この人は困るかもしれない」

という不安が出てくることがあります。

そのようなときは、無理に上手な聞き手になろうとしなくても大丈夫です。

コーチングでは、

今、どのような場面で会話が苦しくなるのか。

相手の言葉を、どのように受け取っているのか。

自分の中に、どんな感情や反応が起きているのか。

本当は、相手とどのような関係をつくりたいのか。

現実の場面で、どのような言葉を使えるのか。

という順番で整理していくことができます。

アクティブリスニングは、自分を抑えて、相手に合わせ続けるための技術ではありません。

相手の気持ちを尊重しながら、自分の状態も大切にし、無理なく対話を続けるための聴き方です。

まずは次に誰かの話を聴くとき、答えを出す前に、

「この人は今、どんな気持ちを分かってほしいのだろう」

と、少しだけ立ち止まってみてください。

その小さな間が、相手と自分の両方を大切にする対話の始まりになります。

エトワールのサービス内容は「サービス」ページでご覧いただけます。

人との関わり方や、聴くことで疲れてしまう状態を一人で整理することが難しいと感じる方には、現在の状況をお聞きする無料相談30分もご用意しています。

サービス内容はこちら、無料相談30分はこちら