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フィードバックで感情的にならないために|伝える前・受け取る前の整え方

2024.02.28

相手に改善してほしいことがあるけれど、伝えたら傷つけてしまうかもしれない。

落ち着いて話すつもりだったのに、相手の反応を見た途端、言葉が強くなってしまった。

反対に、自分がフィードバックを受けたとき、責められたように感じて、素直に聞けなくなった。

仕事や家庭で誰かと関わっていれば、フィードバックを伝えたり、受け取ったりする場面があります。

しかし、内容が正しくても、そこに怒り、不安、罪悪感、焦りなどが重なると、話し合いが思わぬ方向へ進むことがあります。

フィードバックで感情的にならないために必要なのは、感情をなくすことではありません。

伝え方の技術だけを身につけることでもありません。

大切なのは、伝える前、受け取る前に、自分の中で何が起きているのかを整理することです。

今回は、フィードバックを建設的な対話につなげるために、伝える側と受け取る側、それぞれの整え方を紹介します。

こんな人へ

相手に伝えたいことを、つい我慢してしまう方へ。

意見を伝え始めると、言葉が強くなってしまう方へ。

フィードバックを受けると、自分を否定されたように感じる方へ。

関係を壊したくなくて、必要なことを言えずにいる方へ。

相手に配慮しながらも、自分の考えを落ち着いて伝えられるようになりたい方に届けます。

今日持ち帰れること

まず、フィードバックで感情的になるのは、性格の問題だけではないと分かります。

次に、伝える前と受け取る前に、何を整理すればよいのかが分かります。

そして最後に、実際の会話で使える言葉と、今日からできる小さな整え方を持ち帰ることができます。

フィードバックで感情的になるのはなぜか

フィードバックは本来、相手を責めたり、評価したりするためだけのものではありません。

現在の状況を確認し、これからの仕事や関係をよりよくするために、必要な情報を伝え合うものです。

けれども、実際の場面では、伝える内容だけでなく、相手との関係や、それまでに積み重なった感情も一緒に動きます。

たとえば、伝える側には、次のような気持ちが出てくることがあります。

・嫌われたくない
・相手を傷つけたくない
・関係が悪くなったら困る
・きちんと分かってもらいたい
・何度言っても変わらないことに腹が立つ
・自分の伝え方が間違っていると思われたくない
・相手の役に立つ人でありたい

一方、受け取る側には、次のような反応が起こることがあります。

・責められている気がする
・能力がないと思われたように感じる
・これまでの努力を否定された気がする
・期待に応えられず申し訳なくなる
・相手の言い方に腹が立つ
・すぐに反論したくなる
・落ち込んで何も考えられなくなる

こうした感情が出てくること自体は、悪いことではありません。

問題になるのは、実際に起きたことと、自分の受け取り方や感情が混ざったまま、相手へ伝えたり、相手の言葉を受け取ったりすることです。

伝える前に整理したい3つのこと

フィードバックを伝えるときは、上手な言い方を考える前に、自分の中を整理しておくことが大切です。

1)何のために伝えるのか

最初に確認したいのは、フィードバックの目的です。

相手に改善してほしいのか。

状況を共有したいのか。

今後の進め方を相談したいのか。

自分が困っていることを分かってほしいのか。

それとも、たまっていた不満を吐き出したいのか。

目的が曖昧なまま話し始めると、説明しているつもりでも、相手を責める言葉が増えやすくなります。

一方で、

「次回から確認の手順をそろえたい」

「お互いが無理なく進められる方法を相談したい」

と目的が分かっていれば、伝える内容も絞りやすくなります。

2)事実と自分の解釈を分ける

次に、実際に起きたことと、自分がどのように受け取ったのかを分けます。

たとえば、

「いつも私の説明を聞いてくれない」

という言葉には、事実だけでなく、話を聞いてもらえなかった寂しさや怒りも含まれています。

事実に近づけるなら、

「昨日の打ち合わせでは、私が説明している途中で次の話題に移りました」

となります。

そのうえで、

「最後まで聞いてもらえなかったように感じました」

「認識がずれたまま進むことが心配です」

と、自分の受け止め方や気持ちを伝えます。

事実と解釈を分けることは、感情を抑えることではありません。

自分の気持ちを、相手が受け取りやすい形へ整えることです。

3)今、落ち着いて話せる状態か

伝える内容が正しくても、疲れているときや、強い怒りが残っているときは、言葉が必要以上に鋭くなることがあります。

心の中で何度も相手を責めている。

話す場面を想像するだけで、体に力が入る。

絶対に分からせたいと思っている。

相手が謝るまで納得できない。

このような状態なら、すぐに話すより、少し時間を置いた方がよいこともあります。

ただし、我慢を続けるという意味ではありません。

紙に書く、少し歩く、信頼できる人に話す、休息を取るなど、自分に合う方法で感情を落ち着かせたうえで、改めて伝える内容を整理します。

感情的にならずに伝える言葉の例

感情と事実が混ざっていると、相手の人格を評価するような言葉になりやすくなります。

たとえば、

「何度言ったら分かるのですか」

と言われると、相手は仕事の内容よりも、自分が責められたことへ反応しやすくなります。

この場合は、

「同じ箇所の修正が続いているので、どこで認識がずれているのか、一度一緒に確認したいです」

と伝えることができます。

また、

「あなたはいつも人の話を聞かない」

ではなく、

「昨日の打ち合わせでは、説明の途中で次の話題に移りました。最後まで共有してから意見を聞かせてもらえると助かります」

と伝えれば、相手の人格ではなく、具体的な行動を扱えます。

相手を思いどおりに変えようとするのではなく、

・何が起きたのか
・自分はどう受け取ったのか
・これからどうしてほしいのか

を順番に伝えることが大切です。

フィードバックを受け取るときの整え方

フィードバックを受け取る側も、すべてをその場で理解し、納得する必要はありません。

落ち着いて受け取るためには、相手の言葉と、自分自身の価値を切り離して考えることが必要です。

指摘された行動と自分の価値を分ける

仕事の進め方や、一つの行動について意見を伝えられただけでも、自分自身を否定されたように感じることがあります。

特に、責任感が強く、これまで真面目に取り組んできた人ほど、

「仕事ができない人だと思われた」

「これまでの努力を認めてもらえなかった」

と受け止めやすいかもしれません。

しかし、指摘された行動と、あなた自身の価値は同じものではありません。

一つの仕事に改善点があったとしても、それによって、これまでの経験や努力、人としての価値まで否定されるわけではないのです。

まずは、何についてのフィードバックなのかを限定して受け取ります。

曖昧な内容は具体的に確認する

相手から、

「もっと主体的に動いてほしい」

「コミュニケーションを改善してほしい」

と言われても、何を変えればよいのか分からないことがあります。

そのようなときは、曖昧なまま自分を責めず、具体的に確認してみましょう。

「どの場面で、そのように感じましたか」

「次回は、どのような行動を期待していますか」

「特に改善した方がよい点を一つ挙げるとしたら、どこでしょうか」

具体的な情報が分かれば、自分に必要な部分を検討しやすくなります。

その場で結論を出さなくてもよい

予想していなかったことを言われると、すぐに反論したくなったり、反対に、すべて受け入れようとしたりすることがあります。

けれども、フィードバックは、その場ですべて判断しなくても構いません。

「少し考えてから、改めてお返事してもよいですか」

「今いただいた内容を、一度整理させてください」

「具体的な対応については、後ほど相談させてください」

このように一度持ち帰ることで、感情が落ち着いたあとに、受け取る部分と、受け取らなくてもよい部分を分けられます。

感情を抑えるのではなく、分けて整理する

フィードバックで感情的になりやすい人の中には、

「もっと冷静にならなければ」

「何を言われても気にしない人にならなければ」

「傷つかないように、強くならなければ」

と思っている方もいます。

しかし、無理に強くなろうとすると、表面上は落ち着いていても、心の中に怒りや悲しさが残ることがあります。

大切なのは、感情をなくすことではありません。

次の4つを分けて整理することです。

・実際に起きたこと
・自分がどのように受け取ったのか
・どのような感情が出ているのか
・本当は相手に何を伝えたいのか

これは、感情的になりやすい性格だから仕方がないと、諦める必要のあるものではありません。

何が自分の反応を強くしているのかを分けて見ていけば、具体的に扱うことができるテーマです。

エトワールのセッションでも、まず、実際に起きたことと、その出来事をどのように受け取ったのかを分けて整理するところから始めています。

そのうえで、何を伝えるのか、どの言葉を使うのか、相手の反応をどこまで引き受けるのかを、実際の関係や生活に合わせて考えていきます。

気づきを、実際の言葉と距離感に落とし込む

「私はフィードバックに敏感なのだ」

「相手に分かってほしい気持ちが強くなっていた」

と気づくことは、大切な一歩です。

けれども、気づいただけでは、実際の場面で以前と同じ反応へ戻ることがあります。

そのため、気づいたあとは、

・いつ話すのか
・どこまで伝えるのか
・どのような言葉を使うのか
・相手の返事をどこまで引き受けるのか
・話し合いをいったん終える基準をどうするのか

といった、具体的な行動へ落とし込むことが必要です。

無理に何でも受け入れられる人になったり、はっきり言い返せる人になったりすることが目的ではありません。

自分の性格、体力、役割、相手との関係に合う伝え方や距離感を見つけていくことが大切です。

窓辺の木のテーブルに、開いたノート、ペン、カップ、草花の小さな花瓶が置かれた明るく静かな空間

今日の小さな行動:4つに分けて書いてみる

フィードバックについて気になる出来事がある方は、ノートやメモに、次の4つを書いてみてください。

1.実際に起きたこと
2.自分がどのように受け取ったか
3.どのような感情が出ているか
4.本当は相手に何を伝えたいか

たとえば、

「会議中に、自分の提案を途中で否定された」

という出来事があったとします。

実際に起きたことは、

「説明の途中で、相手から『その方法では難しい』と言われた」

かもしれません。

自分の受け取り方は、

「最後まで聞いてもらえなかった」

「自分の考えを軽く扱われた」

というものかもしれません。

そこに、悲しさ、怒り、恥ずかしさ、悔しさなどの感情が出ていることもあります。

そして、本当に伝えたいことは、

「結論を出す前に、最後まで説明を聞いてほしい」

「難しい理由を一緒に確認したい」

ということかもしれません。

4つに分けると、相手を責める言葉ではなく、自分が必要としていることを伝えやすくなります。

対話が整い始めているサイン

フィードバックとの向き合い方が変わると、変化は小さく現れます。

たとえば、

・伝える前に、目的を考えられる
・感情が強いときは、すぐに話さず時間を置ける
・相手の言葉を、自分全体の否定として受け取らなくなる
・分からないことを具体的に質問できる
・その場ですべて答えなくてもよいと思える
・受け取る部分と、受け取らない部分を分けられる
・相手の反応まで、自分の責任として抱え込まなくなる

一度も感情的にならなくなることが、変化ではありません。

感情が動いたときに気づき、自分に合う方法で整えてから、必要な対話へ戻れることが大切です。

一人で整理するのが難しいときは

フィードバックの場面では、目の前の出来事だけでなく、これまでの人間関係や仕事の経験が影響していることがあります。

過去に強く叱責された経験がある。

意見を言うと、関係が悪くなる環境にいた。

相手の期待に応えることで、自分の居場所をつくってきた。

人に迷惑をかけないよう、いつも自分が我慢してきた。

このような経験が重なっていると、一人で考えているうちに、

「やはり私が我慢すればよい」

「もっと気にしないようにしなければ」

「私の受け取り方が悪いのかもしれない」

と、元の考え方へ戻りやすくなります。

そんなときは、一人で無理に答えを出そうとしなくても大丈夫です。

コーチングでは、起きた出来事と感情を分けながら、何を伝えるのか、どのような言葉を使うのか、相手とどのくらいの距離で関わるのかを、順番に整理していくことができます。

フィードバックで感情的にならないために必要なのは、何を言われても平気な人になることではありません。

感情が動いた自分を責めず、伝える前、受け取る前に、自分の中で起きていることを確認することです。

まずは今日、気になっている出来事を「事実・受け取り方・感情・本当に伝えたいこと」の4つに分けて書いてみてください。

その小さな整理から、相手と自分の両方を大切にできる対話が始まります。

フィードバックの場面で、言いたいことを我慢してしまう。

反対に、感情が強くなり、伝えたあとで後悔する。

そのような反応には、これまでの人間関係や、仕事の中で身につけてきた役割が影響していることもあります。

エトワールでは、目の前の出来事だけでなく、何を背負い、何を我慢し、どこまで相手の反応を引き受けているのかを整理しながら、その方に合う言葉や距離感を一緒に考えています。

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フィードバックや対話の土台づくりについては、こちらの記事も参考になります。

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