夏休み明けに仕事を抱え込ませない|チームで見直したい業務の偏り
夏休みやお盆休みが終わり、少しずつ通常業務に戻っていく時期。
休み明けの職場では、止まっていた仕事が一気に動き始めます。
メールへの対応、保留になっていた案件、会議や打ち合わせ、締め切りが迫っている仕事。
そこへ通常業務も重なり、
「気づけば、いつも同じ人が忙しくなっている」
ということはないでしょうか。
特に、周囲をよく見て動ける人や、責任感の強い人ほど、
「私がやった方が早い」
「休んでいた分も取り戻さないと」
「みんな忙しそうだから、これくらいは自分で」
と仕事を引き受けやすくなります。
けれど、夏休み明けの業務の偏りを、本人の頑張りだけで乗り切ろうとすると、疲労や不満が積み重なるだけでなく、チーム全体の働き方が見えにくくなってしまいます。
大切なのは、誰かがもっと頑張ることではありません。
休み明けだからこそ、一度立ち止まり、「誰が、何を、どのくらい抱えているのか」をチームで整理することです。
この記事では、夏休み明けに仕事を抱え込ませないために、チームで見直したい業務の偏りについて整理します。
こんな組織・ご担当者さまへ
- 休み明けになると、一部の社員に仕事が集中しやすい
- 「できる人」「頼みやすい人」に業務を任せがちになっている
- 管理職自身も仕事を抱え込みやすい
- メンバーごとの忙しさが見えにくい
- 忙しい人ほど「大丈夫です」と言ってしまう
- 業務分担を見直したいが、どこから手をつければよいか分からない
- チーム全体で無理なく働ける状態をつくりたい
この記事でお伝えすること
業務の偏りが起きると、
「あの人は断れない性格だから」
「責任感が強すぎるから」
「仕事ができる人に集まるのは仕方がない」
と、個人の性格や能力の問題として捉えられることがあります。
もちろん、その人自身の仕事の受け方やコミュニケーションの癖が影響していることもあります。
しかし、業務の偏りは、それだけで起きているわけではありません。
役割が曖昧になっている。
担当者しか分からない仕事がある。
仕事を頼む基準が決まっていない。
忙しさを共有する場がない。
断ったり相談したりする言葉が使いにくい。
こうした要素が重なって、一部の人に仕事が集まっていることもあります。
つまり、仕事を抱え込むことは、性格だけの問題ではなく、整理して扱えるテーマです。
エトワールの法人向け支援でも、こうしたご相談では、まず「誰が頑張りすぎているか」を探すのではなく、現在どのように仕事が流れ、どこで偏りが生まれているのかを一緒に整理するところから始めています。
知識として「抱え込まない方がいい」と分かっていても、それだけでは現場はなかなか変わりません。
実際に、誰に相談するのか、どんな言葉で伝えるのか、どこまで自分で対応するのか。
日々の仕事や言葉、チーム内の距離感まで落とし込んでいくことが大切です。
夏休み明けに業務の偏りが見えやすくなる理由
通常時には何となく回っていた仕事も、長期休暇を挟むと、その偏りが表面に出やすくなります。
たとえば、
- 休み中に届いた連絡への返信
- 保留になっていた案件の再開
- 休暇前から残っていた仕事
- 新しく入ってくる依頼
- 会議や社内調整
- 他のメンバーのフォロー
などが同時に動き始めます。
このとき、チームの中に、
「これは○○さんに聞けば分かる」
「○○さんなら早い」
「困ったら○○さんにお願いする」
という暗黙の流れがあると、特定の人に仕事が集まりやすくなります。
本人も、
「自分がやった方が早いから」
と引き受けてしまう。
すると、一見すると仕事は順調に進んでいるように見えます。
しかし、その状態が続けば、チームの中に見えない依存が生まれます。
必要なのは、誰かを責めることではありません。
今まで何となく回してきた仕事の流れを、休み明けをきっかけに一度見える化することです。
チームで見直したい3つのポイント
1.「誰が何を持っているか」を見える化する
最初に確認したいのは、一人ひとりの業務量です。
ここでは、単純に仕事の件数だけを見るのではなく、
- 現在進行中の仕事
- 締め切りが近い仕事
- 本人にしか分からない仕事
- 他部署との調整が必要な仕事
- 急な対応が入りやすい仕事
- 周囲のフォローとして行っている仕事
なども含めて見ていきます。
特に見落とされやすいのが、業務一覧には載りにくい小さな仕事です。

質問に答える。
誰かの資料を確認する。
進みが遅れている人をフォローする。
関係者の間に入って調整する。
一つひとつは短時間でも、重なると大きな負担になります。
「担当業務は同じくらいだから公平」と考えるのではなく、実際に使っている時間や気力まで含めて見ることが大切です。
2.「できる人に頼む」から「誰が担当する仕事か」へ戻す
仕事ができる人には、自然と依頼が集まります。
経験がある。
判断が早い。
説明しなくても分かってくれる。
頼む側にとっては、とても助かる存在です。
けれど、
「早いから」
「断らないから」
「安心だから」
という理由だけで仕事を任せ続けると、その人の負担は少しずつ増えていきます。
ここで確認したいのは、
その人ができるかどうかではなく、本来誰が担当すべき仕事なのか
ということです。
たとえば、
- 本来の担当者へ戻す仕事
- 他のメンバーにも共有できる仕事
- 管理職が判断する仕事
- チームで分担した方がよい仕事
- そもそもやめてもよい仕事
に分けてみます。
「できる人に頼む」は短期的には効率的です。
一方で、それが長く続くと属人化が進み、本人が休みにくくなったり、周囲が経験する機会を失ったりすることがあります。
休み明けは、こうした仕事の流れを見直すよい区切りにもなります。
3.「助けてください」と言わなくても調整できる仕組みをつくる
仕事を抱え込みやすい人に、
「無理なら言ってね」
「困ったら相談してね」
と伝えることは大切です。
ただ、それだけでは十分でないこともあります。
責任感の強い人ほど、
「まだ大丈夫」
「もう少し自分でやってみよう」
「この程度で相談するのは申し訳ない」
と考えるからです。
その結果、周囲が気づいたときには、かなり負担が大きくなっていることがあります。
そこで、本人が限界を訴える前に、チーム側から確認できる仕組みを持っておきます。
たとえば、
- 今週の優先順位を共有する
- 抱えている案件数を確認する
- 新しい依頼を受けたら何を後ろにずらすか決める
- 「今週はこれ以上増やさない」というラインをつくる
- 管理職との短い確認時間を設ける
といった方法です。
大切なのは、本人に「もっと上手に断って」と求めるだけにしないこと。
仕事を抱え込まなくても回る環境を、チーム側でもつくることです。
休み明けの2週間で整えたい業務の流れ
大きな制度変更をしなくても、休み明けの1〜2週間を使って業務の偏りを見直すことはできます。
休み明け1〜3日:まず仕事を増やす前に棚卸しする
通常業務が動き始めると、すぐに新しい予定を入れたくなります。
その前に、
- 休暇前から残っている仕事
- 休暇中に増えた仕事
- 今週中に対応する仕事
- 来週以降でもよい仕事
を一度分けてみます。
すべてを「休み明けだから急いで対応する仕事」にしないことがポイントです。
1週目:誰がやるかを見直す
次に、仕事の担当を確認します。
「今までこの人がやっていたから」ではなく、
「これからもこの人が持つ必要があるのか」
という視点で見てみます。
必要であれば、仕事を戻す、渡す、分ける、やめるという選択肢も検討します。
エトワールの法人向けセッションでも、この段階では、単に「仕事を減らしましょう」とお伝えするのではなく、何を本人が持ち、何を周囲へ戻し、どこから相談するのかを整理していきます。
一人で考えていると、
「やっぱり私がやった方が早い」
という元のパターンに戻りやすいものです。
だからこそ、本人の意思だけに任せず、チームの運用として整えていくことが重要です。
2週目:実際に回ったかを確認する
業務を分け直したら、それで終わりではありません。
実際に数日動かしてみると、
「ここはやはり情報共有が必要だった」
「この人に仕事が集中していた」
「別の業務を減らさないと難しい」
など、新しく見えてくることがあります。
完璧な分担を一度で決める必要はありません。
現場で動かしながら、無理のない形へ調整していけばよいのです。
業務の偏りを確認するチェックリスト
夏休み明けのチームで、次の項目を確認してみてください。
- 特定の人にしか分からない仕事が増えていないか
- 「頼みやすい人」に依頼が集中していないか
- 周囲のフォロー業務まで把握できているか
- 新しい仕事を追加するとき、何を後ろにずらすか確認しているか
- 管理職自身が仕事を抱え込みすぎていないか
- 忙しい本人が申告しなくても負担を確認できているか
- 本来の担当者へ戻せる仕事はないか
- 他のメンバーへ共有できる仕事はないか
- やめたり簡略化したりできる仕事はないか
- 困ったときの相談先や判断基準が明確になっているか
すべてを一度に変える必要はありません。
まずは、
「このチームでは、どこに仕事が集まりやすいのだろう」
と確認するところから始めてみてください。
ミニ事例|「できる人」に集まっていた仕事を整理したチーム
あるチームでは、経験豊富なメンバーに細かな依頼が集中していました。
本人の仕事が特別に多く設定されていたわけではありません。
ところが実際には、
「これ、少し確認してもらえますか」
「以前どうしていましたか」
「この対応だけお願いできますか」
という小さな依頼が、日常的に集まっていました。
本人も頼まれると対応していたため、大きな問題には見えていませんでした。
休み明け、業務を棚卸ししてみると、本来の担当業務以外に、多くの確認・調整・フォローを担っていることが分かりました。
そこで、
- 質問を共有する場所を決める
- 他のメンバーにも対応方法を共有する
- 本来の担当者へ戻せる仕事を戻す
- 新しい依頼は優先順位を確認してから追加する
- 管理職が定期的に負担を確認する
という形に整理しました。
ポイントは、本人に
「もっと断るようにしてください」
と求めなかったことです。
本人の責任感や強みを否定せず、その強みを使い続けられるように仕事の流れを整えたのです。
業務の偏りをなくすために、誰かが急に強くなったり、何でも断れるようになったりする必要はありません。
その人とチームに合う形で、少しずつ仕事の持ち方を変えていくことが大切です。
まとめ|休み明けこそ、仕事の「戻し方」を見直す
夏休み明けは、止まっていた仕事と新しい仕事が重なり、業務の偏りが起こりやすい時期です。
そんなとき、
「頑張って追いつこう」
「忙しいのは今だけだから」
と個人の努力だけで乗り切ろうとすると、いつもの人がいつものように抱え込む状態へ戻りやすくなります。
まずは、誰が何を持っているのかを見える化する。
次に、「できる人だから」ではなく、本来誰が担当する仕事なのかを整理する。
そして、本人が限界を訴える前に、チームとして負担を確認できる仕組みをつくる。
仕事を抱え込むことは、本人の性格だけの問題ではありません。
役割、業務量、相談の仕方、仕事の渡し方など、整理して扱える要素があります。
休み明けは、単に仕事を元の状態へ戻すのではなく、これまでの働き方そのものを少し見直すタイミングにもできます。
誰か一人が頑張ることで回るチームではなく、それぞれが無理なく力を発揮できるチームへ。
小さな業務の整理から始めてみてください。
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特定の社員に仕事が集中している。
管理職自身が抱え込みやすくなっている。
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