なかなか手放せない時の整え方|思考から距離を置くヒント
考えても、考えても、頭から離れない。
「あの時、ああ言えばよかったのかな」
「どうしてあの人は、あんなことを言ったんだろう」
「私の受け取り方が悪かったのかもしれない」
もう考えるのをやめたいと思っているのに、気づけばまた同じことを考えている。
そんな経験はないでしょうか。
何かを「手放そう」とすると、つい、
「気にしないようにしよう」
「もう考えないようにしよう」
「早く気持ちを切り替えなければ」
と、自分に言い聞かせたくなります。
けれど、手放すことは、無理に忘れることでも、何も感じなくなることでもありません。
大切なのは、今の自分が思考の中に入り込みすぎていることに気づき、少し距離をつくることです。
今回は、なかなか手放せない時に、思考を無理に止めるのではなく、少しずつ自分を整えていく方法についてお伝えします。
こんな人へ
・嫌だった出来事を何度も思い返してしまう方
・人から言われた言葉が、いつまでも頭に残る方
・考えて答えを出そうとして、さらに疲れてしまう方
・「気にしすぎる自分を変えたい」と思っている方
・人間関係や仕事のことを、家に帰ってからも考え続けてしまう方
・頭では分かっているのに、気持ちがついてこないと感じている方
そんな時のひとつの整え方として読んでいただけたらと思います。
今日持ち帰れること
まず、手放せない状態は、意志の弱さや性格だけの問題ではないと分かります。
次に、思考の中へ入り込みすぎた時に、そこから少し距離を置く方法が分かります。
そして最後に、気づいたことを、実際の生活や人との距離感へどう落とし込めばよいのかを考えていきます。
なかなか手放せないのは、性格だけの問題ではない
何かを引きずっていると、
「私は気にしすぎなのかな」
「もっと切り替えの早い人にならなければ」
「いつまでも考えている自分が悪い」
と思ってしまうことがあります。
けれど、なかなか手放せない背景には、いくつかのものが重なっていることがあります。
たとえば、
・実際に傷つく出来事があった
・言いたかったことを言えなかった
・相手の反応に納得できていない
・自分の中でどう受け止めればよいか決まっていない
・これから同じことが起きるのではないかと不安がある
といったことです。
つまり、「気にしない性格になれば解決する」という単純な話ではありません。
何が起きたのか。
自分は何を感じたのか。
そこから、どんなことを考え続けているのか。
この三つを分けて見ていくと、整理して扱えるテーマになってきます。
手放せない時の整え方1|事実・感情・思考を分ける
頭の中で同じことを考え続けている時は、「起きたこと」と「そこから自分が考えていること」が混ざりやすくなっています。
たとえば、
「相手から返事が来なかった」
という出来事があったとします。
これは事実です。
そこから、
「悲しい」
「腹が立つ」
「不安になった」
と感じたのなら、それは感情です。
さらに、
「嫌われたのかもしれない」
「私を大切にしていないのだろう」
「また同じことになるに違いない」
と考えているなら、それは思考です。
どれが正しい、間違っているということではありません。
ただ、全部をひとまとまりにして考えていると、頭の中で問題がどんどん大きくなってしまうことがあります。
そんな時は、一度、
何が起きた?
私は何を感じた?
そこから何を考えている?
と分けてみてください。
エトワールのセッションでも、こうしたテーマでは、まず「実際に起きていること」と「そこから自分が背負っている意味」を一緒に整理するところから始めます。
すぐに前向きに考えることや、強い人になることが目的ではありません。
何に反応していて、どこから苦しさが大きくなっているのかを見つけ、その方に合う整え方を考えていきます。
手放せない時の整え方2|思考からいったん距離を置く
整理してみても、まだ頭の中で考えが回り続けることがあります。
そんな時は、さらに考えて解決しようとするより、一度、思考以外の場所へ注意を移すことも大切です。

呼吸や体の感覚へ戻る
呼吸を変えようとしなくても構いません。
鼻から空気が入る感覚。
息を吐いた時のお腹の動き。
床に触れている足の裏。
手の温度。
椅子に触れている体の感覚。
そんな小さな体感覚へ注意を向けてみます。
頭の中の答えを探すのではなく、「今、ここにいる自分」に注意を戻していきます。
単純な作業へ集中する
食器を洗う。
洗濯物をたたむ。
机の上を整える。
植物に水をやる。
歩く。
こうした単純な作業に、あえて集中するのもひとつです。
「考えないようにしよう」とする必要はありません。
また考え始めたことに気づいたら、
「あ、また考えていたな」
と気づいて、目の前の作業へ戻ります。
それを何度繰り返しても大丈夫です。
手放せない時の整え方3|今いる場所から離れてみる
考え続けてしまう時、意外に役立つのが、物理的に場所を変えることです。
少し散歩をする。
別の部屋へ移る。
ベランダや玄関の外へ出る。
カフェへ行く。
近所を一周して戻ってくる。
同じ場所で同じ姿勢のまま考えていると、気持ちまでその場に留まりやすくなることがあります。
大きな環境の変化は必要ありません。
数分でも、景色や体の向きを変えるだけで構いません。
「問題から逃げる」のではなく、問題と自分との間に一度スペースをつくるという感覚です。
「なぜ手放せないのだろう」と深掘りしすぎない
自分を理解することは大切です。
ただし、考えが止まらない時ほど、
「なぜ私はこんなに気になるんだろう」
「原因はどこにあるんだろう」
「子どもの頃の経験が関係しているのかな」
と、さらに思考で深掘りしたくなることがあります。
もちろん、落ち着いている時に振り返ることで、自分のパターンが見えてくることもあります。
一方で、すでに頭が疲れている状態では、「理解しようとすること」が新しい思考を増やしてしまう場合もあります。
そんな時は、
「なぜこうなった?」
よりも、
「今の私には何が必要?」
と問い直してみる方が役立つことがあります。
少し休む。
誰かと距離を取る。
今日は答えを出さない。
一晩寝てから考える。
一人になる。
外へ出る。
必要なことだけ相手へ伝える。
その時の自分に必要なのは、分析ではなく、こうした小さな調整かもしれません。
手放すことは「相手を許すこと」とも限らない
手放すという言葉には、
「もう怒ってはいけない」
「許さなければならない」
「過去のことにしなければならない」
というイメージを持つ方もいます。
けれど、無理に許そうとする必要はありません。
嫌だったものは、嫌だった。
傷ついたものは、傷ついた。
その事実まで消す必要はないのです。
大切なのは、その出来事が、今の自分の時間やエネルギーをどこまで占め続けるのかを見直すことです。
「納得はしていないけれど、今日はもう考えない」
「私は私の生活へ戻る」
そんな手放し方があってもよいと思います。
一人で整理していると、元の思考へ戻ることもある
一度、
「もう気にしなくていい」
と思えても、翌日になるとまた同じことを考えてしまう。
そんなことも珍しくありません。
特に、人との関係が絡むと、
「やっぱり私が我慢すればいいのかな」
「私の受け取り方が悪かったのかも」
「もっと理解してあげた方がいいのかな」
と、いつもの考え方へ戻ることがあります。
これは、せっかく整理したことが無駄になったという意味ではありません。
長く使ってきた考え方や人との関わり方は、一度気づいただけで完全に変わるものではないからです。
こうしたテーマは、知識として「距離を取りましょう」と理解するだけでなく、実際の生活の中で、
何をするのか。
何をしないのか。
相手へ何と言うのか。
どのくらい距離を取るのか。
まで落とし込んでいくことが大切です。
一人で考えていると、いつの間にか以前と同じ解釈へ戻ってしまうこともあります。
そんな時には、安心して整理できる場所を持つことも、ひとつの選択肢です。
気づきを、生活・言葉・距離感へ落とし込む
たとえば、「人の反応を気にしすぎていた」と気づいたとします。
気づくだけでも大切ですが、実際に生活を変えていくには、もう一段具体的にします。
すぐに返信しなくてもいいことにする。
疲れている日は、その話題について考えない。
必要以上に相手の気持ちを想像しない。
同じ話を何度も頭の中で再現し始めたら、一度場所を移る。
話し合う必要があるなら、自分の気持ちが落ち着いてから言葉にする。
少し距離を置いた方が楽なら、その距離を認める。
こうした小さな調整です。
エトワールでは、無理に強くなることや、何でも気にしない人になることを目指しているわけではありません。
その方の性格や生活、人間関係、今の心身の状態を見ながら、
「この人の場合は、どうすれば少し楽に扱えるのか」
を一緒に探していきます。
今日の小さな行動|3つだけ書いてみる
今、頭から離れないことがある方は、ノートやスマートフォンのメモに、次の三つを書いてみてください。
1.実際に起きたこと
2.今、感じていること
3.今の自分にできること
たとえば、
1.相手から強い言い方をされた
2.悲しかった。腹も立っている
3.今日は考えるのをやめて、返事は明日にする
というくらいで十分です。
すべてを解決しなくても構いません。
「今できること」をひとつ決めたら、いったん生活へ戻ってみてください。
少し距離を置け始めているサイン
手放せたかどうかを、
「もう一切考えなくなったか」
だけで判断しなくても大丈夫です。
たとえば、
・考えていることに途中で気づけるようになった
・考える時間が以前より短くなった
・すぐ答えを出そうとしなくなった
・相手の反応と、自分の気持ちを分けられるようになった
・今日は考えない、と決められるようになった
・気持ちを切り替えて、自分の予定へ戻れるようになった
・必要なら距離を取ってもよいと思えるようになった
こうした変化も、思考との距離が少しずつ整ってきているサインです。
一人で整理するのが難しいときは
なかなか手放せないことの背景には、一つの出来事だけでなく、これまでの人間関係、仕事で担ってきた役割、家族との関係、自分の考え方の癖などが重なっていることがあります。
そのため、
「頭では分かっているけれど、どうしても戻ってしまう」
ということもあります。
そんな時は、一人ですべてを解決しようとしなくても構いません。
コーチングでは、
何が起きているのか。
自分は何を感じているのか。
どこから思考が大きくなっているのか。
自分が本当に背負う必要があることは何か。
これからどんな言葉や距離感を選ぶのか。
という順番で整理していくことができます。
手放すことは、自分を無理に変えることではありません。
必要以上に抱えていたものと少し距離を置き、自分の生活へ戻ってくることでもあります。
まずは今日、
「これは今、答えを出さなくてもいいかもしれない」
と、一度思考から離れてみる。
そんな小さなところからで十分です。
エトワールのサービス内容は「サービス」ページでご覧いただけます。
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